企業の採用担当者は、応募者のブログをチェックするだけでなく、有能な人材を発掘するためにもブログを活用している。
企業の採用担当者は、応募者を調査するために以前からWebをチェックしている。だが今では、彼らはブログもチェックすることで、候補者を自ら発掘して人材の充実につなげたり、応募者について履歴書や面接では得られない洞察を手に入れている。
小売り大手Wal-Mart Storesの採用担当マネジャーを務めるライアン・ローケン氏は、週に1~2時間をかけてブログを見て回っているという。新しい人材を探したり、面接した応募者の追加情報を入手したりするためだ。「ブログは欠かせないツールの1つだ」と同氏。
3年前にWal-Martに入社して以来、ローケン氏は125人の採用にブログを役立てたという。こうした新入社員のほとんどは、身元照会先がブロガーか、ブログのコメント投稿者で、本人がブログに書き込んでいたケースもある。
採用担当者は、自社の業種や関心分野に特化したブログに加えて、応募者の仕事以外のトピックについてのブログもチェックして、文章スキルを確認したり、人間的成熟度を知る参考にしたりしていると話している。
ブログを何らかの参考にして採用されるのは、大抵はITやメディアの専門職者であり、それはこれらの分野の仕事では、ブログの知識が必要な場合が多いからだと、パーソナルブランディングを専門とするキャリア支援会社Brandegoの創業パートナー、クリステン・ディクソン氏は指摘する。
ブライアン・バルフォア氏は昨年6月、同氏のブログ「SocialDegree.com」に注目したIT企業Zoom Informationの役員から、いきなりプロダクトマネジャーとしての入社の誘いを受けた。
「ブライアンが主張していた内容と、その主張の仕方に感心した」とZoom Informationのプロダクトマーケティング担当副社長、ラッセル・グラス氏は語る。SocialDegree.comには、バルフォア氏の職歴と学歴も詳しく掲載されていた。「迷うまでもなく、すぐに彼に電話をかけて打診を始めた」(グラス氏)
バルフォア氏は話を聞いて興味を引かれたと語る。「声を掛けられたのは格好のタイミングだった。ちょうど会社の売却が完了しようとしていたところで、わたしは次にすることを探していた」と同氏。3カ月後、バルフォア氏(24)はZoom Informationに入社した。
インターネット企業の戦略コンサルタントでブロガーのグレッグ・スターリング氏は、就職の勧誘は、「ブログを運営して自分を露出することによる自然な副産物」だと述べている。
同氏は、契約コンサルタントや正社員を募集している企業や人材会社から、1カ月に15件程度問い合わせがあるという。「ブログはわたしにとって、毎日自分の生の声を人々に発信するための場だ」とスターリング氏は補足する。
ITmedia - 2007年4月11日